変人執事とツンツンお嬢様


今日は元から、私が零慈くんの命令を受ける日だ。



1日中私の世話をする

とは、こういうことに違いない。




違いない……のだが、


零慈くんの手が…指が、私の顔を滑るところを想像すると、やけに心臓が痛い。




苦しいような感覚。




…………それでも


その感覚が嫌ではない。



なんて不思議な苦しさか。





「……弥呼さま?」


「〜〜〜っ…わ、わかった!!!
今日は私が命令を受ける日だ。
キミの言う通りにする!!!!」





やけくそ に近い言い方で言うと

彼はなんとも嬉しそうに笑って






「…ありがとうございます、弥呼さま」




そう、言った。





「……では、失礼します」


「…っ、」





泡に紛れて顔に触れる指に


心臓がずっとうるさく鳴り続ける。





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