変人執事とツンツンお嬢様

「執事」の経由



―――季節は少し遡(サカノボ)る。


僕はお父様の指示により、夜雅御家が昔に仕えていたという壇ノ宮家へ出向くことになった。




夜雅御 は、壇ノ宮会長が社長だった時代に仕えていた家で

僕もその流れに逆らうことなく執事という仕事についた。



しかし、今までとくに専属であった経験もなく

お父様に指示されたときは驚いた。




それが、壇ノ宮の家となれば余計に。








「待っていたよ、夜雅御…零慈くん。」


「初めまして、壇ノ宮さま。父からの命をうけ参りました。

夜雅御 零慈です。
名前を覚えていただいて、光栄にございます…」




壇ノ宮会長は、深く頭を下げる僕を見て

微笑みながらこう言った。





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