変人執事とツンツンお嬢様
episode1
ツンツンで何が悪い
「お父様、引っ越しの支度が出来ました。」
中学を卒業してすぐの春休み。
私はこの家を出る。
とは言っても、ただ引っ越しするだけだ。
「そうか。元気でな。」
「はい、お父様。今までありがとうございました。」
こんな挨拶をしても、お父様の心に私はいない。
お母様が病気でなくなってから、私はずっとひとりぼっちだった。
「では、明日の朝には出ます。
お父様もお体に気を付けて…」
「あぁ。」
最後に深く頭を下げ、お父様の部屋を後にした。
もう……本当にひとりになれるんだ。
そう思うと、心が軽かった。
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