変人執事とツンツンお嬢様
(……いや、でも挨拶は大切だ。
引っ越してきた私が迷惑をかけるかもしれない方々に、何もないのはおかしいな…)
しかしこのマンションは17階建てだ。
全部の部屋を回るのは難しいが…
うーん と唸る私を見て、執事はさぞ面白そうに言った。
「5階の方と…そうですね、下の4階の方々だけでも。
いかがですか?」
「……」
(……くっ…お見通しか…)
そんな風にニコニコされては、断れるワケはない。
というか、断らせるつもりはないらしいな。
「……私だって、そこまで礼儀がないワケではない。
もちろん、挨拶回りくらいする。
それなら…ちょっとした菓子くらい準備しなければ…」
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