変人執事とツンツンお嬢様


鼻をすすっていると、ふとお兄ちゃんの大きな手が私を掴んで



グッ と引き寄せた。




「…な、っ何を…」


「お前は強がりなんだよ。泣いていいんだから泣け!!
俺の胸で良ければ貸すぜ?」


「それは、いらない…」




優しく抱きしめられると、お兄ちゃんの香水の香りが鼻をくすぐる。


……お兄ちゃん…


どうすることもできずに固まる私を、鼻で笑って




「お前は笑ってた方がいい。

……泣き顔もかなり可愛いけどな。」

「っ…お兄ちゃ…」



「頑張れよ。」




最後に力強くそう言って

私を離してニカッと笑った。





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