変人執事とツンツンお嬢様
「……えっと…」
“何もしなくていい”
口を開きかけた私だったが、少し考えてやめた。
何もしなくていい なら、きっと余計なことを言わない方がいい。
「……やめた。」
「え…?」
クッションを置いて、そのまま立ち上がりリビングの出口に向かう。
本当は聞きたい。
もっと話がしたい………けど。
夜雅御さんを一度も見ずに、リビングのドアに手をかけた。
「お待ちください、弥呼さま!!!」
「っ…!!?」
そのとき、ガシッ と掴まれた左腕。
いつもより早口に私を呼ぶ、その様子に
また胸が苦しくなった。
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