変人執事とツンツンお嬢様


そんなことを考えていると


急に彼の顔色が変わった。




「…ですが。執事であるがため、弥呼さまの心を捕まえることは難しいのですよ。

執事の分際で、欲張りなのはわかっています。」




さっきの表情とは打って変わって、哀しそうに眉を下げる夜雅御さんに

胸が締め付けられるのを感じた。






苦しく


切なく



なのになぜか………





(っ…!!!違う、違うっ!!!
 私はそんな…)




お互いにしゃがんでいるため、私と同じ高さに顔がある。


近すぎる距離。



彼の視線を受けるたびに

視線が交わるたびに


心臓が騒ぎ出して胸が苦しく締め付けられた。





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