変人執事とツンツンお嬢様


彼の思っていたこと

初めて知れた気がして





「……夜雅御さん…」


「それに、この前の挨拶回りをした際…
弥呼さまがわたくしのことを
“夜雅御”と呼んでくださいましたよね。」


「ぁ……あれは…その…
 スミマセンでした…」




珍しく最低な態度ではなく、素直に謝れたことにびっくり。


するとそんな私を見て、夜雅御さんはおかしそうに笑った。





「違いますよ、弥呼さま。
わたくしは嬉しかったのです。

やっと………やっと、弥呼さまにお近づきになれたと。
少しは慕われているのだと思ったのです。」





そのときの出来事を思い出すように、何か愛しいものを頭に浮かべるような表情をして


彼は優しく穏やかに、目を細めるのだった。





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