変人執事とツンツンお嬢様
相変わらず、彼の考えていることはわからない。
天然なのか、天才なのか
ただただ変わっているだけなのか、今もわからない。
「そして、あのときのチョコレート…
お兄様に渡したものを、いただいておりましたよね?」
「あぁ。あのときの…」
“お前、これ好きだったよな?”
あのチョコレートが好きだと、お兄ちゃんが覚えてくれていたときのことか。
あれがどうかしたのか?
「……あのチョコレート、わたくしは受け取っていただきたくありませんでした。」
今にも涙が溢れそうなくらい、辛そうな顔をする夜雅御さん。
「夜雅御さ…」
「わたくしは執事であり、ご主人さまは弥呼さま。
主従関係にありながら…わたくしは、どうしようもなく悲しくなってしまったのです。」
その言葉はすごく難しく、理解に苦しむ。
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