幸せの音が響く
「じゃ俺こっち。後で会おうな」

『おう』

「涼子頑張ってね?」

「ヤーダーァ!!」

「ほら南行くぞ」


俺は言葉だけを残し先に進んだ。


「ちょっと!!おいてかないでって言ってんでしょ!?怖いんだから!!」

「これの何が怖ぇんだよ。ただの作り物だろ?」

「そんなこと分かってるよ。  怖いのはいきなり来たりするか・・わっ!!」


ぅおッ!!


俺を盾にするかのように背中に手を当てながら後ろを歩いていた南が驚いた声を上げたと同時に俺の服を自分の方へと引っ張った。

そうなると俺自身も後ろに引っ張られるわけで―


「おい!!いきなり引っ張・・・」


いつも勝ち気でコイツのこんな姿を見たことがないせいか、何かこれ以上強く言えなくなった。

それどころか・・・

可愛いと思ってしまった。

だってこんなんでビビるんだぜ!?あいつも女っぽいところあると思うと可愛くてしょうがないっていうか。 

可愛くて笑っちまう。

あいつって笑うと意外と可愛いんだな。
てか初めてあんなに楽しく笑う顔みたぜ。
だっていつも・・俺の前じゃ笑わねぇし。

なんかここまでビビって、わーわー騒ぐ南見てっと守ってやりたくなるっつーか?

って、何で俺があいつ相手にこんな事を思うんだ?






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