幸せの音が響く
一方、響・幸音チームは・・・―





『結構おもしれぇな。でも南がお化け屋敷苦手とは意外だな』

「だからホラー映画とか絶対見ないよ」

『へぇ。でも高村は?お化け屋敷とか怖くねぇの?』 

「ん〜怖かったりするけど入ってみたいっていう気持ちの方が大きいし・・。
あ、でも私もホラー映画はダメかな。お化け屋敷も映画も同じ作り物だって分かってるんだけど映画の方が頭に残るから・・」

『あーでもその気持ち分かるぜ?お化け屋敷は好奇心で入りたいってなるよな。分かる分かる。あ、高村ここ―』

「へ?・・わっ!!」


俺の後ろを歩いていた高村が声をあげた。


“ここ段差ある”と言おうとした瞬間、高村がその段差につまずいた。


ちょうど高村の方に体を振り向かせたところで、間一髪、高村の腕を掴んで転ぶことは避けられた。


『あぶねーッ。大丈夫か?』

「うっ、うん。ゴメン!!」 

『暗いし、またつまずくかもしれないから、こうしよう』


そう言って俺は掴んでいた腕から手をずらし、高村の手を握った。



「えッ!?ちょっ・・」

『これでつまずいても大丈夫だろ』



困惑している高村をよそに、俺は先を進んだ。



初めてつないだ手は柔らかくて優しい感じがした。



これが高村の体温なんだ。 



凄く嬉しくて・・・このままずっと手をつないでいたいと思った。



でも、そんな幸せもあっという間で・・・。



前方に、少し明るいライトの下で待っている勇哉と南を見つけた。



『はい、もうここまで来たら大丈夫だろ』


惜しみながらそっと高村の手を放した。


「あ、ありがとう・・」




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