幸せの音が響く
ビックリした。

だって、いきなり鷹野君が私の手を握るから。



初めて男の人の手に触れた・・。


これが鷹野君の体温なんだ。


鷹野君の手、私より少し大きくてゴツゴツしてて、ああ、やっぱり男の人なんだなって思わせた。


さっきも――抱き抱えられた時も、男の人だって実感したけど・・・何もかもが私より大きい。



手をつないでいる間中、私の心臓はドキドキいってて。

顔に熱がたまるのも自分で分かるくらいで、きっと赤いんだろうな。


今、この場所がお化け屋敷でよかったなと思う。

じゃなきゃ、顔が赤いのモロバレだもん・・。




鷹野君は危ないからって理由で手をつないでくれたけど・・・この手を放したくない。


もう少し・・・―


けど、そんな淡い思いはあっという間に消されてしまう。




『はい、もうここまで来たら大丈夫だろ』


そう言って、優しくゆっくり2人の手が放れた。



夢みたいな時間が一気に現実に変わった。











私と鷹野君の手がもう一度つながる時が来るのかな? 



もしかしたら二度とないかもしれないと思ったら、凄く寂しくなった。



一度、鷹野君の体温を知ってしまったら、もう一度・・・って願ってしまう。


それなら、ぬくもりを知らない方がよかったのかな? 


ううん。そういうふうに考えるのはやめよう。


先のことを考えて後悔するより、今この瞬間の幸せを心に刻もう。

未来(さき)のことを考えるのも大事だけど今も大事なんだから。




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