幸せの音が響く

発症確定

みんなで行った遊園地は俺の中で、ただの楽しい休日だった。


翌日の朝、教室の入り口前で友達に呼び止められそのまま話し込んでいたら「邪魔!!」とキツイ口調が俺に飛んできた。

振り返ると南が仏頂面で立っていた。

昨日見た笑顔とは真逆の顔。
と言うよりこれがいつもの顔。

普段、学校で南が笑っているのは高村と一緒にいる時ぐらい。
だから、昨日あんなに笑う南を同じクラスになって初めて見た。
もう何ヶ月も同じクラスにいるっていうのに。



「南ってキレイ系だけど何かきつくね?つーか美人てきつく見えるよな」


友達が問い掛けてきた。

まぁ確かにトゲトゲしい感じはする。でもアイツ笑うと可愛い顔してたし、ある部分では気が合ったりするし、見た目以上にきつくはなかったりする。



昼休み、最近では俺・響・南・高村の4人で昼飯を食うことが多くなった。
席が席だから別々に食ってても、自然と4人の中で会話が生まれてしまう。

それはそれで妙に楽しかったりして。


「広瀬、本」


きた・・。

毎週毎週発売されるマンガをある時俺が読んでいたら南が「ちょっと貸して」と読み始めた。

それからずーっと南は俺のマンガを読みやがる。しかも高村も一緒に。


前に「少女が少年マンガ読むのかよ?」って言ったら「うるさい広瀬」と言われた。まぁ別にいいけど。


「お前さぁ、もっと笑えば?」


マンガを読み終わった南に話かけた。


「はぁ!?」

「だから、ただでさえ口わりぃのに笑顔もないって感じわりぃぞ?」

「うっせぇ」

「お前、そんなんじゃ男出来ねぇぞ?」

「は?」

「え?」


それまで口を慎んでいた高村が南と重なる感じで俺を見た。


「なんだよ?」

「何言ってんだお前?」

「は?何って・・そんなんじゃ男出来ねぇぞって」

「あれ?広瀬君知らない?涼子、彼氏いるよ?」

「え・・?」

『マジで!?』


どうやら響も知らなかったらしい。

ちょっ・・ちょっと待てよ。


南に彼氏・・?










マジで言ってんの?


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