幸せの音が響く
昼休みということもありガヤガヤしていたクラスが俺の大きな声によって静まり返った。

そしてその数秒後、一斉にクラスが騒めきたった。


“え?何なに??”


勿論、俺の隣にいる響・高村までもが驚いた様子を見せている。

それはクラスにいる奴らとは違う反応。

クラスの奴らは俺が大きな声を発したことに対してどよめき立ったが、響らは――


「え!?ウソ!?好きな女って・・広瀬君、涼子のこと・・・!?」

『ウソだろ!?』

「ウソじゃねぇよッ!!・・・南が好きなんだよ!!」



“きゃーウソ!?マジィ!?” 

“おい、広瀬が南に告ったぜ!?”


男女問わず様々な驚きの声が飛び交う。
そして廊下にいた奴らまでもがこのクラスの騒つきに興味を持ち覗き始めた。

周りはバカほどうるさく、俺達4人のところだけが隔離されたように静かだ。

響と高村はこの状況に何て言葉をかけていいのか分からないらしく、俺と南を見ている。

だが当の俺と南は黙ったまま。

俺に関しては、勢いで告ったもののそこから先、言葉が出てこない。
別に変な焦りとかそういった不安は無く、ただ南の瞳(め)を真っ直ぐ見た。


それに対して南も真っ直ぐ俺の瞳を見てようやく口を開いた。


「あんた私の話聞いてた?さっき彼氏いるって言ったばっかじゃん」

「聞いたよ!!でもしょうがねぇだろ!?彼氏いるって知った後に好きだって気付いたんだから!!」

「じゃぁ私にどうしろってんだよ?」

「別にどうもねぇよ!!ただお前が関係ねぇとか言うからムカついたんだよ!!」

「あっそ」



この変わったやりとりが一段落して俺の後ろから南を非難する声と俺への同情が聞こえてきた。


“え、ちょっと南冷たすぎね?もうチョイ言い方ってもんがあんじゃねぇの?” 

“広瀬君かわいそー”

“この場合どうすんの?南にもう彼氏いんだろ?ってことは勇哉フラれ決定だよな?ぅわ、きっつー”



さっきから聞いてりゃぁ、南が冷てぇだの、俺が可哀想だの・・・―


「うっせぇんだよッ!!」




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