幸せの音が響く
大体なぁ、南が冷てぇのは今に始まったことじゃねぇんだ!!

口がワルくてきつい口調で今まで俺に向けられてきたアイツの発言は数知れず!! 


“ジャマ広瀬”

“どけ広瀬”

“ウザイ広瀬”

“うるさい広瀬”

“黙れ広瀬”


これでもかってぐらい俺の事をバカにしてきた南。

それでもアイツにジュースを買いに行かされた時はちゃんと礼は言うし、金だって自分の財布から出して意外と真面目で律儀で。

変な所で優しかったり、ぶーぶー文句言うけど決められたことや、やれと言われたことはちゃんとやってっし。

表面上、冷たくてワガママな感じの南だけど、何かいろいろ違うんだよ!!

それになぁ、今までずーっと冷たかった南が態度一変して顔赤らめたり、しおらしく“ごめんね?”なんて言ってみろ!!

こっちがどうしていいか分かんねぇよ!!


変人扱いされてもいい。

俺は、南がいつもと変わらない態度で少しホッとしてるんだ。


それなのに・・・―


「何も知らねぇ奴がごちゃごちゃ言うんじゃねぇよ!!」


俺はクラスの連中に言い続けた。


「俺は別に南と付き合いたいとか思ってねぇんだよ!!ただコイツの事が好きだって気付いたから口にしただけなんだよ!!
それなのに、南が冷てぇだの俺がフラれ決定だのさんざん言いやがって・・好きってだけじゃいけねぇのかよ!?
告白したら付き合わなきゃいけねぇって誰が決めたんだよ!?」



言い切った。

多分、これは言い訳としか取られないだろう。

でも今言った言葉は言い訳なんかじゃねぇ。



俺の本当の気持ちだ。





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