幸せの音が響く
翌日 学校に来てみると昨日の告白事件が学年全体に広まっていた。

そりゃそうだろうな。
あの状況で噂にならない方がおかしい。
俺は自分勝手に告っちまったから別にいいけど南にしたらいい迷惑だよな。

ヤベ、何て声かけたらいいんだ?

いや、昨日あれだけ考えたんだ。俺が焦ってどうする。
普通でいいんだよ普通で。 


そんなことより、さっきから周りの視線が・・・イタイ。

って当たり前だよな。
つーか人のことほっとけよ。


「お、南じゃーん。なぁなぁ、お前って彼氏いたんだな。昨日初めて知ったよ。でも、広瀬も可哀想な奴だぜ。何も彼氏持ちを好きにならなくてもなぁ?」


俺の数メートル先を歩いていた南に他のクラスの男子が話かけている。

たくっ、ウゼェ野郎だなぁ 

しばらく様子を見ていても飽きることなく喋り続けている奴にイラッ!!ときて2人の間を割って入ろうとしたところ――


「お前さっきからうっせぇんだよ!!そんなに私と広瀬のことが気になんのかよ!?マジうぜぇ。一つ言わせてもらうけどな、可哀想なのは広瀬じゃなくてあんただから。
人のことをおちょくることしか出来ねぇクソ野郎が!!」



こっ・こぇぇ〜ッ。

南の奴、いくらウザかったとはいえ一応男である奴の胸ぐらを掴みそこまで言うとは、なんて奴だ。

アレで女なんて・・・。

俺は本当にアイツのことが好きなのか?凶暴だぜ?

それに見てみろよ、奴のビビった顔。おもしれぇ。


あ。


さっきの男子が南から離れ体を向きなおすと俺と目が合った。

向こうはバツが悪そうな顔しながら俺の横を通り過ぎようとした。


「二度と俺らに関わんな」 


真横を通った際にムカついたから言った。


ムカついた理由は多々あるけど、一番ムカついたのは奴が南に触ったから。

無視を続ける南に“なぁ?”と肩を掴んだのがめちゃくちゃムカつき、いい加減にしろよ!!とカッコ良く行こうとした瞬間に南が奴の胸ぐらを掴み暴言を吐いた。

せっかくカッコ良く登場してやろうと思ったのに、これじゃぁ俺の立場がねぇじゃねぇかよ。
















最後の悪あがきぐらいちゃんとさせてくれよ。


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