幸せの音が響く
「南ー」

「あ?・・って広瀬か。またウザい奴が来たのかと思った」

「今見てたけどよ、女が男の胸ぐら掴むってどーよ?これでまた一目置かれるぜ?」

「どーでもいいよ」

「よくねぇだろ?女はしおらしい方が男ウケいいぞ?」

「今時しおらしい女がいるか。 大体お前の言うしおらしいってどんなんだよ?」

「可憐で可愛くてふわ〜っとしてて男が思わず抱きしめて守ってあげたくなるような子。
大和撫子みたいなさ、品があって華があって・・」

「はっ。妄想も程々にしとけよ」

「うるせぇ。要はお前と正反対ってことだ。優しい口調に女らしい振る舞い!!」 

「何が優しい口調に女らしい振る舞いだよ。お前はそんな女がタイプなんだな。でも、お前みたいな野蛮人と撫子じゃぁ月とすっぽんだぜ」

「誰が月とすっぽんだ。
それに俺より野蛮なやつに言われたくねーな」

「うるせぇサル」



ははは・・。やっぱりこっちの方が気楽だ。

周りの視線はどうあれ、コイツとのくだらないやり取りを俺は――――



『お、勇哉来た来た。待ってたんだよ、チョコの新しい味マンゴー♪』


教室に入ると響が早く来いよと手招きしている。


ああ、アイツにも言わなきゃな。



「ねぇ幸は?」


南が響に聞いた。


『さぁ?ちょっと行ってくるって出ていったぞ?』

「ふぅん。じゃぁ私もちょっと」


高村を探しに行ったのか南も教室から消えた。

でも却ってちょうどいい。   南がいちゃ出来る話も出来ないからな。

この空気を読んだのか響から話かけてきた。









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