幸せの音が響く
『お前これからどうすんだよ? つーか今一緒に来てたけど大丈夫なのかよ?もう殆んど皆知ってるぜ?
何か言われたり・・』

「さっき5組の奴が南につっかかってた。でも俺の出る幕なしに終わったけどな。
まぁなんだ、別にどうもしねぇよ。
南が好きなのは好きだけど、もうアイツには彼氏がいるからな」

『諦めるってことか?』

「諦めるとは違う。無理に忘れるとかそんなんじゃなくて、ただ想うってゆーか・・・好きなら好きでそれでいいってゆーか。また誰かに恋した時はその時で―みたいなさ」

『・・――まぁ、お前がそう言うんなら何も言わねぇけどさ・・』

「さすが心の友!!」

『それよかさぁ、南の彼!!どんな奴なのかすっげぇ興味ねぇか?』

「ある!!だってあんな凶暴な女を彼女にするってんだぞ?どんな心の広い男なんだよ?
まぁ、俺も人のこと言えねぇけどな!!」


そう。あんなカチカチな女を好きだなんて言う男はいないだろうと思っていた。 

きっと心の奥深い所で安心していたんだと、そう思えて仕方ない。

心は俺自身が自覚するもっと前から南に惹かれていたんだ。

でも、こんな形で自分の気持ちに気付かされるなんて。
どうせなら知らない方が・・気付かない方がよかった。

って思うのに、それでも後悔しきれないのは?



『それでさ、佐伯いんじゃん?』

「保健の?」

『そう。なんか佐伯と南って知り合いらしくって』

「どんな?」

『詳しくは知らねぇけど、知り合いの知り合いの知り合い?』

「なんだそれ?」

『よく分かんねぇ。そんな大して興味ねぇし。
で、知り合いってことは彼氏のことも何か知ってんじゃねぇかなぁと思って・・』

「そうだよ!!ちょっと奴に聞いてこようぜ!?」

『そう言うと思ってさっき佐伯に会った時、聞いたんだよ』

「うわマジで?え?で、何て?」

『それが、大まかにしか教えてくれなくてよぉ。なんか南から口止めされてるとかで』

「口止め?そんなのありかよー?名前とかも?」

『名前もNG。教えてくんなかった』





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