幸せの音が響く
ふぅ。


一呼吸して体から高村を放した。

高村は、恥ずかしいのか俯いたままで俺はうっすら残る涙の後を指でそっと触った。


「あ、あのッ・・」

『泣かせてごめん』

「これは別に・・」

『高村、俺と付き合って下さい』

「えっ・・・!!」



もう迷わない。



「え、でも・・」

『さっき言ってくれたよね?好きって。俺も高村が好きなんだ。だから付き合ってほしい』

「でも、私と鷹野君じゃ・・」

『俺と高村じゃ何?もしかして釣り合わないとかそういうこと?
そんなの俺と高村比べたら、授業はサボるは態度は悪いはで・・不真面目で高村の隣にいたいって思うのはおこがましいかもしれないけど―』

「ちっ違うよ!!そうじゃなくて・・」


話の途中で高村が違うと否定した


「そうじゃなくて・・・鷹野君は不真面目でも何でもないよ。全然そんな人じゃないよ。
カッコ良くて皆からモテるのに、私みたいな・・・。特別可愛いわけでもない地味な私が鷹野君とつっ、付き合うなんて・・・」


そっち?
そういう意味の釣り合わない?


『何言ってんだよ!!特別可愛くないって、高村は特別可愛いに決まってんだろ!!俺が可愛いって思うのは高村だけだよ!!
それに恋愛は見た目でするもんじゃねぇよ。
釣り合うとか釣り合わないとか、そんなのどうだっていいんだよ。
俺が高村のことを好き、それだけでいいんだよ!!
周りの目線とかそんなの関係ねぇんだよ。
俺は高村が好きで高村と付き合いたいんだよ』


思い出した。

以前、南と話した時――


“幸は自分に自信持ってないんだよ。
まぁ、自分に自信持ってる奴はそういねぇけど、幸は特に。
自信が無いから、彼氏とか無縁だと思ってる。
幸の自信をここまで喪失させたのはアイツらだよ。だから私はアイツらを許さない。そういう男が大っ嫌いなんだよ”


高村は自分に自信を持ってないんだ。

でも、俺だって全てにおいて自信があるわけじゃねぇ。

けど、人を好きになってもいいだろ?


普通に恋愛して普通に彼氏が出来るってことを高村に教えたい。






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