幸せの音が響く
また涙が流れてきた。

せっかくおさまってたのに。



鷹野君から“付き合ってほしい”と言われた。

そして次々と出てくる夢のようなセリフ。


私がこんな事を言われるなんて思ってなかった。


鷹野君が恋愛は見た目でするものじゃなく周りの目線は関係無いと言った。

確かにその通りかもしれない。


その言葉が凄く嬉しくて。

でも私、付き合ったことないし、どうしていいか分かんないし。
それに、まだ信じられない。

鷹野君が私を好きだということが。

普通ならここで“はい”と答えるところなんだろうけど・・。

その二文字が詰まって出てこないのはどうして?



『まだ、信じられない?』 

「え?」

『男が信じられないんだろ?さっきも言ったけど南から少しだけ聞いてるんだ』 


南からこの事は言うなと言われてるけど――


『詳しくは知らないけど、高村が男を苦手とし信じられないってことだけ聞いてる。
もし俺の気持ちが信じられないのならそれはそれでいい。いつか高村が俺の気持ちが本当だと信じてくれるまで待つよ。
好きだって言葉にして毎日飽きるくらい言うよ。
無理に信じてくれとは言わない。ただ、分かってほしい。高村が好きだ』



そう言いながら、右手を私の左頬に添えた。



私はなんて臆病なんだろう。

こんなにも鷹野君が――

なのに私は、受け入れるどころか受けとめることからも逃げようとするなんて――




“好き”と言って一歩前に進めたのなら、今度は相手を信じてみよう。

相手を信じることでまた一つ前に進むんだ。


そして、歩き続けるんだ。 












「私と付き合って下さい」 





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