幸せの音が響く
少しは高村の不安が取れただろうか?

俺は本当に思ってるんだ。 

高村を守りたい―と。


そして少しずつでいいから自信を持ってほしいんだ。 

自分は想われているんだって。

夢でも嘘でもない。
現実にあるってこと。



「鷹野君・・あの・・もう人が来るから・・」


俺の腕の中で小さくなりながら話す高村が可愛くてしょうがない。

男に抱きしめられるのが初めてでまだ慣れないんだろうな。

その証拠に体は硬直し手は俺の背中に回すことも無く、ただただ俺の腕の中にいるだけ。

この姿が可愛くて可愛くて。


『高村、手、俺の後ろに回してみな?』

「え!?う、後ろ!?」

『そう、背中』


躊躇しながらも手を背中に伸ばそうとする高村をもう一度自分の方に引き寄せた。


「わぁ!!」


背中に高村を感じた。


初めて男を抱きしめる手はどこかぎこちなく、それでも一生懸命それに応えようとする。



「ぅ〜・・恥ずかしい・・」

『あははははは。なら、慣れるまでもうしばらくこのままね。
そうだ、これから毎日朝来たらギューってしよう』

「ぇえ!?」

『そうしよう!!俺、朝一番に高村に抱きしめられたら授業頑張れる!!約束な!!』 

「そんなッ・・!!」

『高村はイヤ?俺に抱きしめられるの』

「やっ、そんなこと!!とんでもないです・・けど、男の人に抱きしめられるの初めてで・・緊張するっていうか、恥ずかしいっていうか・・」

『高村可愛いー!!』

「あ、あの、そんなにかっ、可愛いって・・」

『何で?本当に可愛いんだからしょうがないじゃん』 

「それも言われ慣れてないっていうか・・」



あはは。やっぱり高村は可愛い。












絶対に離したくない。


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