幸せの音が響く
あの後、平静を装い鷹野君が待っている閲覧室へと向かった。

勿論、私と水澤さんがそんな話をしていたことは知らず、変わらぬ笑顔を向けてくれた。



その笑顔の裏には私の知らない事が隠されているの? 



こんなコト思いたくないけど、頭が勝手に悪い方へと考えてしまう。


分かってるの。

鷹野君からも聞いたわけじゃないのに水澤さんの話だけで決めつけるのは間違ってるって。


分かってる。分かってるんだけど・・・でも、どうしても・・・。



不安が顔や態度に出てないか心配で。

でも、鷹野君の顔もまともに見れなくて、もしかしたら何か感付いたかもしれない。


そう考えると昨日の夜は中々寝付けなかった。


今も“何かあるの?”と聞かれたけど、そんなの言えるわけない。

こんなにモヤモヤするなら鷹野君本人に直接聞けばすむことなのに、聞けない。 

何も言えないし、何も聞けない。


どうすればいいの?



ううん。何もしなくていいのかもしれない。

聞かなくていいことだってある。

知らなくていいことだってある。


仮に水澤さんとのことがあってもそれは過去。

過ぎ去ったことをとやかく言ったって何も始まらない。



大丈夫。










だけど、この・・・消したくても消えない不安はなに・・・。



水澤さん達が言った言葉が私の中の不安を大きくする。




遊び―

純情そうなところが簡単に落とせそう―





何で?

何で鷹野君の言葉よりあの人達の言葉の方が頭に残るの?




何で?

何でこんな・・・これじゃ、鷹野君を信じてないのと・・・疑ってるのと一緒だよ・・・。







ヤダ・・・。



何でこんなに不安なの?


鷹野君だけの言葉を信じればいいのに、他の人の言葉で振り回されるなんて・・・私って最低。








もう、どうしていいか・・・・。




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