幸せの音が響く
『なぁ先生』

「鷹野」


俺と先生の声が重なった。


「まず俺の話の方が先だ。そのために保健室から連れ出したんだから」

『荷物運べってウソなのかよ?』

「幸ちゃんに聞かれちゃマズイからね」

『何だよ、高村に聞かれたくない話って』

「今後、幸ちゃんから目を離すな。そばにいろ」

『は?俺はずっと高村のそばにいるけど?』

「意味が違う。そばにいて守るんだよ。水澤から」

『水澤・・?あいつ高村に何かする気か!?』

「昨日、脅しかけてたよ」 

『脅し!?マジかよ!?』

「ああ、鷹野と別れろって水澤含め5人でな」

『あいつッ・・!!やっぱり動いたか!!』

「水澤達が何かするって分かってたのか?」

『ああ。大抵、女ってそういう陰険な事するだろ?俺、それがあるから女って嫌いなんだよ。高村以外な!!』

「確かに一部、女の行動には目にあまるものがあるが。
でもお前がそれに気付いてるならよかった」

『中学ん時、女同士のいざこざ現場を目撃したことあって。
その時の醜さはハンパじゃなくてよ。しかもそれ見たのが彼女と別れた数日後で、女に嫌気がさしてた時にそんなもん見たから余計に』

「あ〜・・それはイヤだな」

『でも、そんな俺の中にあるイメージを変えさせた唯一の人間が高村なんだよ。同じ女だけど、分かるんだ。高村は絶対そんな事しないってな!!』

「幸ちゃんは人をいじめるような子じゃないからね」 

『だろ!?俺の大事な女を傷付けようとする奴は例え同じ女だって許さねぇ。絶対守ってやるッ。
それにしても・・あ!!』

「何だ?」

『今日高村、朝から何かおかしかったんだよ!!
もしかして水澤のことが原因!?あいつ、高村に何言ったんだよ!?』

「確か“響が本気でアンタと付き合うわけないだろ”とか“遊びに決まってんじゃん”とか“色気もないアンタより可那の方が釣り合ってる”とか」

『はぁぁッ!?ふざけんじゃねぇぞあいつ!!勝手な事言ってんじゃねぇよッ!!!!』 

「怒る気持ちは分かるが今は幸ちゃんだよ。
あんな事を言われて不安じゃないはずがない。きっと傷ついたはずだ」

『許さねぇ。ぜってぇ許さねぇッ!!』



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