幸せの音が響く
「まぁ、幸ちゃんのことだから、水澤との出来事は誰にも喋るつもりはないんだろう。これから先、嫌がらせを受けたとしても」

『何でそんな!!もっと俺のこと頼れよ』

「頼ってほしいと思うのが男だけど、迷惑をかけたくない・嫌がらせをされてると知られたくないと思うのが女らしいから」

『んな事言ったって・・・でも、どうすりゃいいんだよ?水澤がどんな事してくるか分かればそれなりの対処が出来んのに』

「そうだな。でも、さっきも言った通り、相手の出方が分からない以上そこで頭を悩ませても仕方ない。
ならまず、幸ちゃんの不安を取りのぞき水澤の言葉ぐらいじゃぐらつかない関係を築くことが先決だ」

『でも、高村が何に不安を感じてんのか分かんねぇよ』

「自分に対する鷹野の気持ちだろう」

『俺の気持ち?気持ちって言ったって、さっきも好きって言ったし・・』

「その一瞬は安心出来るかもしれないが一瞬じゃダメだ。
鷹野、涼子から聞いた幸ちゃんの傷を覚えてるか?」 

『勿論』

「幸ちゃんは冗談という形で傷ついたんだ。
“お前なんか相手にするわけないだろ”って。
その言葉と同じことを昨日水澤達が言ったんだよ。そうなると、少なからず幸ちゃんの中で不安に感じる部分が出てくる」

『俺の気持ちも嘘なんじゃないか―って?』

「そうだ。例え、水澤達の言葉を信じなくても、昔の出来事と相手がお前ってことで不安は募るだろうな。おまけに初カレときたら尚更だ」

『昔の事と初カレは何となく分かるけど、相手が俺だと何で不安なんだよ?』

「お前、自分がモテるって自覚してないわけじゃないないだろ?」

『あ〜・・まぁ・・。
でも、俺が好きなのは高村だぜ?高村にもちゃんと好きだって言った』

「お前は言ってそれで満足かもしれないけど、モテる奴から好きだって言われて不安にならないやつはいないと思うぞ?
特に幸ちゃんは自分に自信を持ってないって言ってたから、何で私なんだろう?って思っても不思議じゃない」

『・・・何でそんなコト考えるんだよ。ただ俺の言葉だけを信じてくれればそれでいいのに・・・』





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