幸せの音が響く
2・3歩進んだら、高村が体を起こした。




「鷹野君ッ!?」

『わッ!!ご、ごめんっ・・起こした?』

「え!?ううんッ 大丈夫」



ビ、ビックリしたーッ!!!!


マジでびびった・・・。


なんてタイミングで起きるんだよ。まるで、俺が近付いてくるのが分かってたみたいに・・。

そんなに、俺に近付いてほしくないのか?

て、こんなマイナス思考はやめて、何か話を・・



『えっと・・高村早いね?誰もいないかと思ってた』 

「あ、私いつもこの時間には学校着いてるから・・」


え?いつも?


『マジで?早ぇな。何かあんの?』

「あ、私、双子の弟と妹がいるんだけどまだ保育園だから私が朝送ってるの。
そのまま一緒に出るからどうしても朝早く学校に着いちゃうの」


へぇ・・。弟と妹がいるんだ。また新たな発見だ。

でも高村ってお姉ちゃんなんだ・・。

お姉ちゃんてイイな。高村のイメージにぴったりだ。 


『でもヒマじゃね?』

「んー・・そんなことないかな?本とか読んでるし。それに誰もいない朝の教室って静かで好きなんだ・・・――」


高村は嬉しそうに言った。


ああ、俺はこういう高村が好きなんだ。


やわらかく微笑み、傍にいる人を知らず知らずのうちにあったかい気持ちにさせる高村が。


って、勝手にあったかい気持ちになってるのは俺だけか。


『へぇ。静かな教室か・・イイかもな。
でも毎日毎日、小説読んでんの?』

「あ、うん。でも今日は小説じゃなくて写真集なの。風景写真。ぼーっと見てたら眠たくなってきちゃって・・」


ああ、だから寝てたのか。

可愛いなぁ。と思った瞬間、俺はとんでもない行動に出てた。

殆んど無意識で高村に近付き、写真集を覗き込んだ。


『どれ?ちょっと見せて?』と言って。



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