幸せの音が響く
実は俺、今日高村をあそこに連れて行こうと思ってる。


『なぁ高村、屋上行かねぇ?』

「屋上?え、でもあそこって幽霊が出るとかって噂が・・。それに鍵もかかってるんじゃ・・」

『ははは・・幽霊なんて出ねぇって。だってアレ、俺が言ったウソだもん』

「ウソ!?えっ、何でそんなウソを・・?」

『何でって、1人で使いたかったから。
広ーい空を一望出来るんだぜ?それを俺1人だけでしたかったから、わざと“屋上で幽霊見た奴がいる”って言いふらしたんだ。・・あ〜っ・・引いた?』


俺は言い終わった後、少し後悔した。
そんなことする人だったなんて――って思われたらどうしよう・・って。

でも、そんな後悔は一瞬にして吹き飛んだ。

最初は驚いてた高村がクスッと笑ってこう答えた。


「ううん、引いてないよ。鷹野君らしいなって思っちゃった。
でも、幽霊は出ないとして、鍵は?かかってないのかな?」


高村は、多分何気なく言ったんだと思う。
でも“鷹野君らしい”って言葉が俺自身を受け入れてくれたみたいで凄く嬉しかった。

それに鍵のことなら心配ご無用。


『鍵なんて平気だよ。ほらっ』


俺は、ポケットから一つの鍵を出して見せた。


「え・・もしかして屋上の鍵!?」

『正解。実は、去年のうちに二つあった屋上の鍵を一つ拝借したんだよね♪』

「・・・」


あ、やっぱりここまでくるとさすがに引く?



「あははは・・やっぱり鷹野君てすごいねッ
そんなことまでやってのけちゃうなんて!!」


わっ・・笑った。
可愛い顔で、すごいねッて。引かれたかと思ったのに・・はは・・ヤッタ!!

凄ぇ嬉しいッ!!!!



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