幸せの音が響く
私が恐れていたことがとうとう訪れた。




あの言葉で、予感していた気持ちが確信に変わった。


私は極力、鷹野君を遠ざけてきた。少しでも関わらないように―少しでも目を向けないように――

だって、そうでもしないと鷹野君に惹かれてしまうから。

心を奪われてしまうから。 

今までずっと気付かないフリを・・・と言うより、本当の気持ちを押し殺し目を背けてきた。

私が鷹野君を好きなんだ―って認めたくなかった。

だって好きになってどうするの?好きになっても、手が届かないと分かっているのに。叶わない恋だと知っているのに。

それなのに恋をしてどうするの?



なのに・・・私はやっぱり鷹野君に惹かれてしまった。

恋の海にさらわれてしまった。



でも、まだ大丈夫だろうか?
引き返せるだろうか?


ううん。引き返してみせる。


まだ大丈夫。


大丈夫。






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