幸せの音が響く
なるほどねぇ。

そういう理由があったのか。  私も今の話聞いて少しイメージ変わったよ。


「じゃぁ、告白とかしないの?」

「しないよ!!」


やっぱり言うと思った。


「何で?すればいいじゃんッ。 恋したら告白して付き合う!!それが恋愛じゃん」

「無理に決まってるよ。
・・・私が恋ってだけでも違和感あるのに、告白なんてとてもじゃないけど・・。ましてや付き合うなんて・・・・」


幸の声が最後の方でだんだん小さくなっていった。


「いい?幸。
昔のことは忘れろ。幸は別にどこもおかしくない普通の人間なんだよ。
普通の女なの。人が誰かを好きになって恋をするのは当たり前。今の幸は当たり前のことしてるだけだよ。誰もそれを笑ったりしない。もし笑う奴がいるなら私がブッ飛ばしてやる。
な?・・大丈夫だよ」


私はそう言うと幸をぎゅっと抱きしめた。
声を押し殺し、必死に溢れ出てくる涙をこらえようとしているからだ。


幸の涙を何回見ただろうか?  昔の傷で涙を流す姿は私の涙をも誘う。

だって、私も幸と同じ傷をもっているから。







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