幸せの音が響く
「紅茶飲めるよね?」


と保健医の佐伯(さえき)先生が聞いてきた。


私達は今、保健室。

幸があの状態のまま5時間目には出れないと思って、授業をサボって外にいたら通りかかった佐伯先生が「こっちおいで」と保健室に入れてくれた。

そして、紅茶を私達に出した後「しばらくココで休んでいくといいよ。俺は職員室にいるから」と言って私達2人だけにしてくれた。

いくら保健医と言えど、男が女の子の事情に耳を傾けない方がいいと考えたんだろう。


実はこの学校、保健医が2人いる。しかも男と女。
男の先生が佐伯で、女の先生が鈴木。

ちなみに、鈴木先生は産休のためしばらくお休み。
て、わけで保健室には佐伯先生しかいない。


「気遣わしちゃったよね?」


幸が申し訳なさそうに言った。


「何言ってんの?それが保健医の仕事ってもんでしょ。平気・平気。それより落ち着いた?」

「うん・・ゴメンね?」

「何言ってんの。元は私が余計なこと言ったからなんだしさ。まぁ、おかげで授業サボれてラッキーだけど♪」

「あはは・・・。
ありがとね?話聞いてくれて」

「私別に何も聞いてないよ?  まだまだ聞きたい事はたくさんあるからね♪」

「まだ聞くの?」

「当ったり前じゃん!!
でも、聞きたい事あり過ぎてどれから聞こうか迷う」

「あはは。そのまま迷ってていいよ」







うん。いつもの幸だ。

ま、いっきに聞くのもアレだし、詮索しすぎるのもね。

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