幸せの音が響く
『先生、助かった』

「モテる奴は大変だなぁ」 

『って、それ南にも言われた』

「南も同じ事言ったのか?面白いな」

『何も面白くねぇって。
もう、うんざりなんだよなぁ。結構冷たくあしらってんのに分かんねぇかな?』 

「へぇ、うんざりなんだ」 

『それよりみっちーが探してたって。俺、南に呼ばれてんだけど』

「ああ、さっきのは嘘だよ。南に頼まれたんだ。
職員室の帰りに鷹野を見つけたら連れて来いって」

『え?どういうこと?』

「まぁ話は中で。はい、どうぞ」


少しだけわけが分からないまま、保健室に招き入れられると南がどかっと椅子に座っていた。


「遅いッ 何してたんだよ」

『何って水澤に捕まってたんだよ用があるって言っても聞かねぇし』

「断り方があめぇんじゃねぇの?そんなことでこれからどうすんだよ」

『は?これからってなんだよ?』

「まぁまぁ。南もそうつっかかってやるな。今、少しだけイライラしてるみたいだしな。ほら、レモンティー。落ち着くぞ?」


南との会話に先生が入ってきてレモンティーを差し出した。
イライラしてた気持ちがレモン香りで和らいでいくのが分かった。


『ふぅー・・』

「落ち着いた?じゃぁ、これ」


レモンティーを飲んで一息ついたところで南が俺の前に置いてある机に結構の量の紙を置いた。


『何だこれ?』

「これを学年別に分けて束ねて欲しいんだ」


先生がニコッと笑い、宜しくね♪と言った。

・・・はい?

何で俺が貴重な放課後を割いてまで保健医の仕事である書類整理をしなきゃなんないわけ?
意味分かんねぇ。


『ちょっと待てよ?何で俺がこんなこと・・』

「交換条件だよ」


先生の言葉でますます思考回路がぐちゃぐちゃだ。



< 63 / 186 >

この作品をシェア

pagetop