幸せの音が響く
「幸、男が苦手なんだよ。ていうか、男性恐怖症?それに付け加え男性不信」


へ・・・?

なにそれ。


『男性恐怖症?え、ちょっと待って、男性不信て・・』

「そのまんまの意味だよ。男が怖いし、男を信じられない」

『何で?何でそうなるわけ?何があったんだよ?』


もう、知ったら後悔するとかそういう思いはどっかいってしまった。

ただ、知りたかった。

高村に何があって何でそうなったのか知りたかった。



「中学入って最初はよかった。
普通に男女分け隔てなく会話して・・。
でも、しばらくしてからいきなり一部の男子から悪口を言われた。
まぁ、ブスとか外見的なことに対してで、言われたのは幸だけじゃなく私も含め他数人」

『・・・・』



悪口・・。

でも、悪口言われただけで男が怖いとか・・何で?
言った奴等のことを嫌いになるってなら分かるけど・・。


「悪口を言われただけなら、ここまで傷付かなかったかもしれない。でも、あいつらは、もっとヒドイ事をした」


俺の心臓がドクン・・ドクン・・ドクン・・と波打つ。
なぜ、こんなにも騒ぐのか。

それはきっと南の表情のせいだろう。

どこか苦しげで、でもその中に怒りがあるのを感じた。


そして、重々しく口を開いた。


「悪口を言うようになって、幸と男子の距離は一気に広がった。
そしてある日、悪口を言ってた男子の一人が幸に告白した」

『えッ!?』

「放課後に呼び出し、その日は終わったけど、翌日学校に来たら幸が告白されたっていう噂が既に広まってて。
教室に入るなり――

“お前、昨日の告白信じた?言っとくけど、アレ嘘だぜ?もしかして、本気にしたとか?

あははははッ あり得ねぇよ!!
誰がお前みたいなブスに告るかよ!?バカじゃねーの!? 

普通、嘘だって気付くだろ?ブスな上にバカかよ?マジうけるーッ!!”


そうやって笑い者にして、幸の心をぐちゃぐちゃにした。
男子だけじゃなく、そいつらと仲がよかった女子も嘲笑った」

『っ・・!!』



もう何も出てこなかった。




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