幸せの音が響く
『お前どっちなんだよ?
俺を応援してくれてんのかな?って思いきや、それとは全く反対の事言ったりさぁ。俺にどうしろっていうんだよ?』

「どっちもだよ」

『は?』

「幸があんたと恋をして昔の事を忘れるくらい幸せになるならいいけど、その事で幸を傷付けるのは許さない。
それだけだよ」

『じゃぁ、つまり・・俺の恋を応援してくれるってことでいいですか?』

「ま、そんな感じかな。
でも、だからといって私に頼ったりすんなよ!?
自分の恋は自分で成就しな」

『相変わらず冷てぇっつーか、何つーか・・・』

「俺も鷹野の恋を応援するよ。
上手くいくといいな」

『先生は俺に優しい言葉を投げかけてくれるけど南は・・。俺の味方じゃねぇのかよ?味方ならもっとこう・・』

「あ?誰が味方だよ?
勝手に味方にするな。私は幸の味方だよ。
やっぱり応援ていう言い方はよくないな。見届けてやる」



素直じゃねぇなぁ。

口では色々文句は言うけど、密かにフォローしてくれそうだ。
何気に面倒見が良いっていうか、イイ奴だと思う。

こんな事を直接南に言ったら、うるさいって言われそうだから黙っとこう。


「そうそう。もう一つイイ事教えてやるよ」

『イイ事?』

「幸の前で人の悪口言わない方がいいよ。あいつ、悪口言われたじゃん?それで自分が嫌な思いしたから、人の悪口滅多に言わないんだよ。
言ったとしても、オブラートに包んだ言い方するっていうか。

“これだけ沢山の人がいるんだから人の欠点とか見えて当たり前だよ。
自分が完璧じゃないのに、人のことどうこう言えないよ。
それに、悪口って自分の株を下げるからね”

って言うの。
ま、要は、あんたが幸の前で誰かの悪口を言おうもんなら、あんたのイメージが急激に落ちるってわけ。
そうなると、嫌われる一方だね」

『そう・・なんだ』



そっか、だから・・・






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