君の色



「な、南智っ」

悠司は驚いた様子でこちらをみた。

「悠司、辛かったね。
こんなにも苦しんだんだね。
だからもう…充分すぎるよ」

「南智っ。気づいてくれて…ありがとう」

それは温かく優しい涙。

「その傷の分だけ強くなろうね」

悠司は抱きしめていた手を強めた。
そして、頷いて”ありがとう”と呟いた。

「ははっ。何もしてないのにありがとうって。悠司らしいね」

「そんなことないよ。南智は俺を救ってくれたよ」

やっぱり、やっぱり優しいんだよ。
人の痛みも知ってるから。


ありがとね。悠司。



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