怪奇愛好倶楽部。
どうせこの後1人になるんだ。
亮太郎には悪いけれど、
ゆっくり浸かって、
気持ちを落ち着けてから上がろう。
彼には僕の恐怖心なんかわかるまい。
この後すぐに布団に入ったとしても、
朝起きるまでに何かが起こるかもしれない
外の音で、異変に気づかなかったら……
いや、気づけない方がいいかもしれない。
どっちがマシだろうか。
そんな事を考えながら、
湯船の蓋を開けた。ら、
……目が合った。
「うわぁっ!?」
「どうした?」
さっきのがある所為か、
今度はテンション低めだ。
「ちょ、亮太郎!顔!顔が!」
「顔がどうした。
目に石鹸でも入ったか?」
「違う!でっかい顔が!湯船に!」
ふたを開けるとそこには、
お湯の中一面に、巨大な顔面があって、
そいつの目と、視線を合わせてしまった。
「それならそうと、早く言え!」
亮太郎はそう言って、
ビデオを構えて浴室に入ってきた。
……ビデオは余計だけれど、
ちょっとだけ頼もしく見えるよ!