怪奇愛好倶楽部。
【1.傘】
「えっと、東海林 要です。
中途半端な時期からですが、
どうぞよろしくお願いします!」
一礼すると、拍手や、
よろしくーといった声が聞こえてきた。
「じゃあ、あっちの窓際、
空けといたからあの席な」
「はい!」
よかった、担任の先生も
クラスメイトもいい人そうだ。
言われた席に着くと、
隣の席の女子が話しかけてきた。
「私、萩 留衣って言うの。
困った事あったら言ってね」
ショートカットの、活発そうな女の子だ。
「ありがとう、よろしくね」
そして、授業が始まった。
休み時間になると、
僕の噂が結構広まっていたらしく、
行方不明になっている間の事を聞かれた。
だけど、本気で何も憶えていないと
答えると、みんなすぐに諦めてくれた。
そして、神隠しに遭った子認定をされた。
……まあ、別にいいけどさ。