怪奇愛好倶楽部。
「……居ないじゃん」
亮太郎が浴槽を覗き込むと、
そこにはすでに顔は無いそうだ。
僕は見ていないから、判らない。
「……本当に?」
「何も居ないんだし、入れば?」
「無理!もう上がる!」
居ようが居なかろうが、
とりあえず今は入りたくない。
そして立ち上がろうとするが、
情けない事に腰が抜けてしまった……。
「ほら」
「……ありがとう」
見かねた亮太郎に手を借りて、
ようやく浴室から出た。
そして体を拭いていると、
一応チェックしておくと
カメラを見ていた彼が言った。
「……あの顔なら、前に見た事あるな」
「どこで?何で?!」
カメラには、写っていたのだろうか。
「リビングの窓から
覗き込んでたのを見た事がある」
そして、僕を見ていたのだと彼は言った。
「何で見られなきゃいけないの?!」
「俺が知るか!
お前、人外のストーカー多いからな」
「嫌な言いがかりよして!
そんなのいないから」
怖い事を言わないでほしい。