怪奇愛好倶楽部。
お風呂場を出ると、
風が窓を叩く音や、
揺れる木の影が、とても気になる。
自分の部屋に戻り、
そのままベッドにもぐりこんだ。
「せめて髪ぐらい乾かせよ。
あーあー、毛布濡れてる」
「……ドライヤー中も、
周りの音聞こえないじゃん」
しかも時々空耳してしまうし。
「見張っててやるからさ。
さっきの何も映らなかったし」
そう言う彼は、
やっぱりカメラを構えている。
「……じゃあ何で顔、知ってるの?」
「だって、お前は見ただろう?」
そう言われて思い出した。
亮太郎は、何やら人や物に触ると
その人の事や過去の出来事がわかるという
特殊技能を持っている。
基本オカルト反対だから信じたくないけど
時々、彼の調子のいい時は
心を読まれてるんじゃないかとすら思う。
そしてそんな時は眼鏡をかけてたりする。
だから姉さんと伊達メガネ収集をして
交換してかけているのも時々見る。
そして本人は
『眼鏡かけてると
頭よさそうに見えるだろ?』
とか言ってるけど、
そもそも彼の頭はいいんだし、
別に外見でアピールしなくてもいいだろう
それはただの言い訳なんだろうと思う。
「ちゃんと見ててよ?」
「そんなに後ろが気になるなら、
鏡を見てればいいんじゃないのか?」
「……いきなり上から
何か来たら嫌だからやだ」
安心してたらにゅっと出てきたりする。
ホラー映画の基本に従うのは止めて欲しい
背後を彼にまかせ、
ドライヤーをかけ始める。