怪奇愛好倶楽部。
「で?何があったんだ?」
「……巨人がこっち覗き込んでた」
にやにや聞く亮太郎に答えた。
昨日のあれは、きっとそうだろう。
木みたいなのは、足だと思う。
「インターホン鳴らしたのがさ、
そいつかと思ってさ、怖かったんだよ」
「そんなに大きいやつが、
あんなに小さいボタン押しにくいだろ。
っつーか押せないんじゃないか?」
……言われてみれば、そうかもしれない。
「それにさ、昨日、風呂にいただろ?
だったら、もう、中に入れるんだ。
何もわざわざ
入れてもらう必要は無いだろ」
「あ、そうか……」
じゃあ、別に
覗き込む必要も無いんじゃない?!
いや、入ってこられても嫌だけどさ!
「まあ、皆お前をからかって
遊んでるんだろうな」
覗き込んだりして、反応を見てるんだ。
そう笑いながら、
彼も階下へ降りて行った。
僕も下へ行こう。
その前に、思い切ってカーテンを開ける。
……光が、まぶしい。
暗いよりはきっと、この方がいいだろう。
戻ってきた時に何も居ない事を祈りながら
階段を降りていく。
あ、いい匂い。
そして、テレビからであろう、叫び声。
今日もいつもと変わらない、
ちょっと不安な1日が始まった。
それでも天気がいいから、
昨日よりはずっといい1日だ。
【嵐の日 終】