怪奇愛好倶楽部。
「あ、雨。
降ってきちゃったね」
放課後、萩さんと他のクラスメイト数人に
校内を案内してもらっていたが、
途中から部活のある人が抜けていき、
最終的には2人になった。
そして今、昇降口で困っている。
「私ね、折り畳みなら1つあるんだけど」
一緒に入ってく?送るよと、
彼女は行ってくれたけれど
「いや、さすがにそれは……あ、
借りれる傘、あるんだよね?」
丁度さっき教えてもらったのだけど、
この学校は、有志で集まった傘と、
落し物で持ち主が現れなかった傘を
忘れた人の為に、貸し出されている。
今日の降水確率は、
降りそうな降らないような際どい物だった
きっと、傘を持ってきてる人も多いし、
1本ぐらい、残っていないだろうか。
……ちなみに僕が忘れたのは、
ただ単に急いでいて、忘れたんだ。
「あ、名前書いてるのは、駄目だよ」
見に行こうとすると、
萩さんがそう言ってきた。
「?……うん」
若干疑問はあるけれど、
間違って紛れ込むとか、あるんだろうか。