怪奇愛好倶楽部。

「あ、受付なんだ」

「……姉さんに聞いたの?」

菜月ちゃんが、来た。
今日は私服で、髪も下ろされている。

姉さんか啓吾さんが一緒なのかな?と
思って見回してみるが、居ない。

「1人よ?
 後で3人も来るみたいだけど」

「あ、そうなんだ」

言いたい事を読み取って、答えてくれた。
3人と言う事は、
姉さんと啓吾さんと亮太郎も来るのか。

「丁度暇だったし、
 お化け屋敷だっていうから来てみたの」

「そうなんだー……結構怖いらしいよ?」

言った途端に、中から悲鳴が漏れてきた。
声の調子から、多分、大人だ。

今中にいるのは、
小学生とその保護者の人だったから……

「とっても楽しそう!」

にこにこと入口を見つめる、菜月ちゃん。

まあ、彼女にとっては何でもないだろう。

なんせこの子は、自分が被写体の写真の
80%が心霊写真という、特技?がある。
……楽しんで貰えればいいんだけど。



日頃彼女のいとこである啓吾さんには
姉さん共々お世話になっているし、
相手は年下の女の子だし。

そんな理由をつけて、
『よかったらおごるよ』という
女の子に1度は言ってみたかった台詞を
口にしようと、彼女に向き直った時……



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