怪奇愛好倶楽部。

「うわっ!」

「何これ、手作りなんですか?!」

僕の悲鳴と、菜月ちゃんの弾んだ声。

入口から現れたのは、
精巧な、顔面の崩れた少女の被り物をして
赤い浴衣を身に着けた、萩さんだった。

「やだ、もー。
 さっきまで一緒にいたんだし、
 驚かなくてもいいじゃない!」

萩さんは笑ってそう言うが、
いくら見ても、馴れる事は出来ない。
それほどまでに、よく出来ているんだ。


「手作りだよ、室内も全部、力作!
 この子、東海林君の知り合い?」

「あ、うん。
 姉さんの彼氏の、いとこの子」

「榎本 菜月って言います!」

萩さんの顔……被り物をキラキラと
見つめながら、自己紹介をしている。

「そうなんだー……可愛い!」

彼女も、きっと中では瞳を輝かせて
菜月ちゃんを見つめているんだろう。

だけど、菜月ちゃんは長い黒髪だし、
この教室前は、薄暗くされている。
傍から2人を見るとホラー映画のようだ。

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