怪奇愛好倶楽部。
「ところで、どうかしたの?」
まだ中にお客さんもいるし、
交代の時間でもない。
「あ、そうそう」
僕が声をかけると、
ハッとしてこっちを向いた。
……不気味だ。
「あのね、さっき入ったお客さんが
すごい驚きっぷりでね」
「ああ、悲鳴がこっちまで聞こえてたよ」
「やっぱり?
で、怖がってくれるのはいいんだけど、
その人が驚く時に掴んで
窓に張ってた布がやぶけちゃって……。
教室まで予備の布、
取ってこようと思って出てきたの」
「そうなんだ。
……よかったら、僕が行こうか?
その恰好で行くのはちょっとどうかと」
今は準備室にされている教室の周りは
小さい子向けの出し物が多い。
今の彼女の格好で行けば、
パニックになったり、
泣き出す子が続出だろう事は目に見える。
「いいの?ありがとう!
じゃあ私は代わりに受付してようかな」
……受付だったら、大丈夫だろう。
外は曇りの日程度には明るいし、逆に
中のレベルがわかっていいかもしれない。
「戻ってくるまで、
私も一緒にいてもいいですか?」
菜月ちゃんが聞いている。
ものすごく、被り物に興味があるらしい。
「いいよ!
お客さん来るまで話してよっか!」
楽しげな2人を横目に、教室へ向かう。