怪奇愛好倶楽部。


教室は、お化け屋敷のネタバレを防ぐ為に
廊下側の窓もすべて布を張り巡らせている

……だから、暗い。
すぐに電気をつければいいんだけどね!

スイッチに手を伸ばすと、
教室の奥の方から声がかけられた。

「待って、つけないで!」

女の子のようだ。

「あ、ごめん!」

今、教室は更衣室代わりにもされている。
暗い事が役に立っての事だ。

だから電気をつける前には、
出来る限り声をかけるようにしてるけど、
交代時間にはまだ時間があるし、
今は誰かがいるとは思わなかったから、
うっかりとしてしまっていた。


「使ってた布が破けちゃってさ、
 それで予備を取りに来たんだ。
 すぐ行くからさ、ごめんね」

「……そう」

廊下側の壁際に積まれている
段ボールの上に置いてあるはずだし
外で待っているよりは、
持ってさっさと出た方がいいだろう。

そう考え、壁際に近づき、手を伸ばした。
予想通り、段ボールの上に布の手ごたえ。

「あったあった。
 これで出ていくから、ごめんね」

「ううん、大丈夫」

彼女の声からするに、
あまり気にしていないようだ。よかった。


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