怪奇愛好倶楽部。


これを持ってすぐに出よう。

箱の上の布を手繰り寄せた。

「……あっ!」

どうやら、目的の布と目隠し用の布が
どこかで引っかかっていたらしい。

僕が引き寄せたのに連動して、
窓を隠していた布が、めくれてしまった。

決して着替えているであろう彼女を
見ようと思ったわけではなく、
段ボールの積まれ方の所為で、不可抗力で
他意は無く、僕は彼女の姿を見てしまった


「……っ、ご、ごめん!」

焦りによりすかさず謝ったけれど、
幸いな事に、彼女は着替え終わっていて
恐らく萩さんと同じ役なのであろう
崩れた顔に、浴衣姿だった。


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