怪奇愛好倶楽部。
予想通り、傘はかなりの数残っていて、
その中から、この傘を捜している持ち主が
いる可能性の低そうなビニール傘を借りた
消えかかっている文字が
柄の部分に見えたけれど、読めない。
古そうだし、何処にでもある透明傘だ。
きっと、大丈夫だろう。
明日には返すし。
「あ、あった?よかったね」
「うん、待っててくれたの?ゴメンね」
それじゃあ出ようか、と
傘を開いた時、萩さんが言った。
「その傘で、いいの?」
「?うん、一番気軽に使えそうだし」
「そっか、君がいいならいいんだ」
なんなんだろう?
校舎から出ると、同じ学年の女子が数人、
集まって話をしていた。
……雨なんだから、他ですればいいのに。
「あ、留衣、ちょっとおいでよ!」
「ん、何ー?
東海林君、じゃあまた明日!」
「うん、今日はありがとうね」
彼女等に呼ばれた萩さんと別れ、
家路へと向かう。