怪奇愛好倶楽部。


「あの、似合わない、よね……」

布をほどこうとあたふたしていると、
彼女が突然、そう聞いてきた。

「いや、よく似合ってると思うよ」

彼女もまたよく出来ている被り物で、
白い肌と赤い浴衣のコントラストも
鮮やかで、クラス中から絶賛されるだろう

「本当?これ、可愛いと思う?」

「うん、いい柄だし、可愛いよ」

浴衣は大人しめの上品な花柄で、
何だか高そうに見える、
安く売っている物とは
きっと素材からして全然違うんだろうと
そう思うような物だった。

そういうのは、今日じゃなくて
お祭りとかで着ればいいのに。と
そうも思ったけれど、言わないでおこう。

「ありがとう!
 ……これね、気に入ってるんだ」

彼女がそう言った時、
ようやく布が離れた。

……誰だ、安全ピンで止めてたのは。
メイド喫茶の腹いせに
変なハプニングでも狙ってたのか?

「そうなんだ。
 布外れたから、僕はもう行くね」

予想外に時間はかかったけれど、
無事に持っていく事が出来そうだ。

「うん。私もすぐ行くよ!」

はずんだ声。

……やっぱりうちのクラス、
僕以外全員怖いもの好きか!


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