怪奇愛好倶楽部。


「……あれ、これ誰?」

最後の1枚のシャッターを押した
森口君が、画像を確かめて言った。


「何々、いい物撮れた?!」

萩さんが嬉々としてカメラを受け取り、
それを確認した後、僕の前に突き出した。

「これ、東海林君の隣、誰?!」

キラキラした瞳で見つめられつつ、
画像を見た。

そこには、さっきの教室に居た子と
同じ浴衣の、綺麗な顔の少女が居た。
彼女は、はっきりと映っていたし、
嬉しそうに微笑んでいた。

……それだけなら、何の問題も無いのに

「うちのクラスの子じゃないよね?」

「でもこの格好!見てよ、これ!」

「普通に見ても人数多いよね!」

……その少女は、まったく、
見覚えのない子だった。



結論として、あの話の少女が
文化祭を覗きに来たんだという事になった

……それでいいんだろうか。

「でもどうして、僕の隣?」

「丁度いい隙間があったんじゃない?」

そう言われれば、確かに隣の人との間が
1人分、絶妙に開けられてていた気もする
……僕の逆隣は菜月ちゃんだったしな。


「それじゃあ、この後も、
 頑張っていきましょー!」

誰かのその声で、
みんなそれぞれの持ち場に戻った。


……待たせてしまってごめんなさい!と、
さっききたらしいお客さんに思ったけれど
彼らも、楽しげに写真に納まっていたので
まあ、よかったのだろうか。



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