怪奇愛好倶楽部。


見たくない!


けれど、このままにも出来ない。
見なかった事にして帰るなんて、無理だ。

このままこの傘を捨てていくのも、怖い。
あとで何があるか解らないからだ。
過去の経験上、何が起こっても……。

覚悟を決めて、視線をその手に移す。


手の、その断面の先から血が垂れている。
これがきっと、水音の正体なんだろう。


「何?僕はどうすればいいの?」

恐々、手に話しかけてみるが
返答は無い。


そりゃそうだろう。
だって、手だけだ。

動転して、僕はどうかしている。



そうだ、学校へ戻ろう。



それでこの傘を返して、
違う傘を借りて帰ろう。

すぐ近くだ。

家に帰るよりも早い。


小走りで、今来た道を引き返し始めた。


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