彩-aya-1
扉の前に腰を下ろし、ハニカミボーイを見ると、
「あ、俺っスか? 俺はユウキです。アヤ…さんですよね? よろし――」
「アヤでいい!! それとタメで!」
思わず、言葉をさえぎった。
だって、どー見ても……ユウキは年下じゃない。
あたしは年上でも同級生にでも、“さん”付けされ、敬語で慕われるほど、立場は上じゃない。
「え…アヤ、っスか?」
戸惑いの声を上げるユウキに、少し微笑む。
「そ、呼び捨て! あたしもユウキって呼ぶし」
ユウキは戸惑ったのか、少しの沈黙の後、
「……分かった。じゃあ、アヤで」
優しい笑顔をくれた。