甘く甘く、時に苦く。
両親はあたしが5歳か6歳の時に離婚した。


父は仕事人間だった というのが、あたしのなかで一番大きい印象だ。

だから、ずっと母にばかり頼っていた。

単純な年頃だったあたしは、迷わず母の元へとついて行ったのだ。


・・・父はその時、どんな顔をしていたのだろう。


悲しんでいた?

重荷が減って喜んでいた?

それとも・・・何も考えていない?


そんなことを考えるようになったのはつい最近のことだ。





「ちょっと李玖!ぼーっとしてないで早く学校行きなさい!」


色々と考えていると、母の甲高い声が耳に響いた。


『わ!やっば時間ない!!』


気をつけなさいよ と呆れ顔で言ったであろう母に手を振って、駆け足で玄関を出た。





[夢の中で]~eNd~
< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop